その根底にあるのは、一人ひとりが主体的に生きていること、豊かに生きていること。楽しく暮らしていること。人間らしく、生き生きしていること。そのことを大切にしていること。 工房集は「そこを利用する仲間だけの施設としてではなく、新しい社会・歴史的価値観を創るためにいろんな人が集まっていこう、そんな外に開かれた場所にしていこう」という想いを込めて「集(しゅう)」と名付けました。
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【活動報告】con*tioさんによるグッズ制作レクチャー(6/17開催)

【活動報告】con*tioさんによるグッズ制作レクチャー


開催日:2021年6月17日
時間:16:30~18:30
会場:工房集+オンライン
参加者数:54名
講師:杉千種氏、山口里佳氏(con*tio)


◆講師プロフィール

杉千種・山口里佳(con*tio)
障害とアートを軸に中間支援を行うNPO法人のスタッフとして培った社会福祉観をもとに、2014年にcon*tioを設立。
様々な福祉施設とそれぞれの課題に一緒に向き合いながら、商品開発やアトリエ活動のサポート、展覧会やイベントのコーディネートをしている。福祉の現場・ひとの魅力を引き出せるような役割を目指して活動している。
facebook:https://www.facebook.com/contio.info
webサイト:http://contio.info


◆主旨
福祉施設のグッズ開発や改良のコーディネーターとして活動しているコンティオのお二人を講師にお招きし、
グッズを制作するにあたって、基本的な考え方を教わると共に、事例を元に学び、施設に合わせたグッズ制作のノウハウを学びました。


◆内容
はじめに、福祉施設でグッズを制作し、販売する際に大切にしたい考え方や、だれに向けてどこで販売するのかという基本的なコンセプトの重要性を学びました。
7つのP(poem夢やコンセプトを言葉にする、planning具体的な計画、presentation他者に想いを伝える、partnership他者とつながる、Practice必要なことを学ぶ Perform形にする、passion情熱をもつ※出典元:一般財団法人たんぽぽの家「障害とアートの相談室」)についてのお話も印象に残りました。
そのうえで、福祉施設で生まれる商品の魅力とは何か、マーケティングに基づいて付加価値のある商品が購入につながっているというプロセスもお話しいただきました。

また、各地で魅力的な活動をしている施設に加えて、制作されているグッズを事例として、なぜその商品が魅力的なのかを解説していただき、一点物の商品の魅力や、価値を高めるパッケージ、支援者との関わりから生まれる商品といった、オリジナリティ溢れる商品は、グッズそのものの魅力に加えて、どのようにその魅力を伝えていくのかをしっかりと考えて制作されており、そのプロセスも参考となりました。

岡田亜弓さんによるポストカードセット「岡田亜弓のファンレターください!」(返信用のはがきが同封されており岡田さんに届く)

 


 

さらに、具体的に必要な要素として、人材、時間、お金が挙げられ、どれかに投資が必要であり、人材に関しては、担当者が一人で悩みながら進める状況ではなく、施設内で仲間を増やしていくことの重要性が挙げられました。
資金に関して、他施設の事例として、製品を外注し量産するという方法も一つであるというアドバイスを頂きました。

かつて、施設のグッズ制作に関して打ち合わせを行った際、「この商品を買いますか?」という質問を投げかけたところ、そこにいたスタッフ全員から「買わない」という返答があった、という事例が紹介され、自分が欲しいと思えるものでなければ他の人も欲しいと思わない、魅力的な商品は生まれないと伝えられました。
福祉施設では、義務的に商品制作に取り組み、コンセプトを見失うケースが見られます。本当に販売したいのか熱意が感じられない施設も多い為、魅力的な商品を制作して売りたい、という熱意が一番必要であり、研修内容を通して各施設でのグッズ制作を見直す機会となりました。

最後に、社会的にはSDGs(持続可能な開発目標)の概念が広がり、ファストファッションに代表される消費社会とは異なった、“モノ”との向き合い方が重要になってきています。福祉施設のオリジナルグッズは一点物の手仕事も多いので、その意識も制作に取り込めるとより魅力的になるのではないかという提案がありました。


◆質問・感想など
・伝えたいことは何かということをしっかり掘り下げること。そのために今当事者、事業所、私たちのいいところ、得意なこと、素敵なことを洗い出しています。ここにじっくり時間をかけることが大切だと感じられました。焦ってあの人の素敵なあの絵をTシャツにしたら売れるんじゃない?という安易な物づくりをしないようにしようと心に刻みました。
・商品づくり≠そのものを手を動かして製作する 機械に投資をして機会が作ってもいい、というお話に目からうろこでした。

・自らの作品の「付加価値」について考えながら創作する利用者さんはいない中、やはり「付加価値」を見出すのは支援員です。近くにいる支援員が「付加価値」を見出せる力・情熱があるかないかで利用者さんの作品のその後が決まると考えると、とても胸が痛くなりました。どう商品化するのかではなく、どう利用者さんを知ってもらえるかを強く意識して、「付加価値」を高める努力が必要だと感じました。

・参加していた職員から共有してもらって聞いてはいましたが,直接con*tioのお2人のお話を聞かせていただいて大変いい刺激を受けました.どこを見て,何をするのか…,自分たちがどうしたいのか,何を伝えたいのか,考えるべきこと,行動すべきことをいろいろな場面で聴かせていただき,そのたびになるほど!!そうだよな!!と思うのに,日常の中に埋没すると,そのことより目先のことに振り回されながら軸がぶれる…ということを繰り返していることを感じます.こういうことを悪しき先祖返りというのでしょうか?こういうことを繰り返しながらでも,「大切なこと」が自分にとっても,事業所にとっても当たり前になっていくよう努力していきたいと思いました