アートセンター集について
その根底にあるのは、一人ひとりが主体的に生きていること。豊かに生きていること。楽しく暮らしていること。人間らしく、生き生きしていること。そのことを大切にしていること。
工房集は、「そこを利用する仲間だけの施設としてではなく、新しい社会・歴史的価値観を創るためにいろんな人が集まっていこう、そんな外に開かれた場所にしていこう」という想いを込めて「集(しゅう)」と名付けました。
障害の重い人の表現の可能性を模索し続け、その中から生まれた作品を通じて、多くの人とつながり、関わり、新たな可能性が生まれてきています。
そして2016年、厚生労働省「障害者の芸術活動支援モデル事業」の助成を受けて障害のある人、その支援者の課題の解決、また情報交換やネットワークづくりの場として「アートセンター集」をオープンしました。2017年からは同省の、2018年からは埼玉県の「障害者芸術文化活動普及支援事業」の助成を受けて事業を行っています。
「表現すること」は、人間が生きることそのもの。
表現活動を通じて、障害の有無に関係なく、人と人とを豊かにつないでいきます。
設立の背景
埼玉県では、2009年から「障害者アートフェスティバル」の一環として毎年、「埼玉県障害者アート企画展」を続けてきました。その開催において、アートディレクターの指導のもと県内の福祉施設職員等が協働でワークショップを重ね、支援のネットワークを築いてきました。
また、工房集は社会福祉法人みぬま福祉会の一施設でもあり、法人の表現プロジェクトを社会に発信する役割を担っています。当法人では、障害の重い仲間の仕事を模索する中、1994年頃から表現を仕事にする取り組みが始まりました。2002年には、アトリエ、ギャラリー、カフェ、ショップを備えた工房集を開設。福祉分野だけでなく、アーティストやキュレーターなどの美術関係者と連携しながら、現在は、11のアトリエを中心に、150名程の仲間たちが仕事としてさまざまな表現活動を行なっています。
アートセンター集は、この工房集が長年、実践してきた福祉の理念に基づく取り組みと「埼玉県障害者アート企画展」で得たネットワークを活かし、「さらに表現と支援を広めていこう!」という機運の高まりにより誕生しました。
事業内容
障害のある人の表現活動やその支援を広めるために、次の事業を行っています。
「創る」「深める」「広げる」「守る」をサポートします!
相談窓口
協力委員や専門機関等と連携して、障害のある人やその家族、支援者の「創る」「深める」「広げる」「守る」をサポートしています。
障害がある人のアートに関する支援のネットワークを広げます!
埼玉県障害者アートネットワーク
TAMAP±〇(通称:タマップ)の運営
福祉施設や事業所で障害のある人たちの表現活動を支援しているメンバーが、月1回の定例会や商品化等の研修、展覧会の実践などを通して、学びながら支援の輪を広げています。
“表現”を発掘し、発表の場や学ぶ場を企画します!
新たな“表現”の発掘
2009年から埼玉県が続けてきた「表現活動状況調査」を、2017年から県と協同で行っています。これは、障害のある人の「芸術・文化活動」を把握する実態調査です。絵画や造形、ダンス、詩などのほか、新たな表現を発掘する機会になっています。この調査票をもとに毎年、福祉の現場職員(TAMAP±〇)と美術の専門家などの多様な視点から表現の魅力を掘り起こし、展覧会などを通して発信しています。
埼玉県障害者アート企画展の開催
2009年から埼玉県が「埼玉県障害者アートフェスティバル」の一環として埼玉県立近代美術館で開催してきた「埼玉県障害者アート企画展」。2016年の第7回からは、アートセンター集が事務局を担い、県と協同で行っています。
連動する「展覧会」「研修」の企画・開催
協力委員でもあるアートディレクター等の協力を得ながらTAMAP±〇メンバーが中心となって、「埼玉県障害者アート企画展」と連動する作品展やグッズ展、ダンス公演、研修を年数回、県内にて開催。展覧会にあわせて作家主体のイベント(アーティストトーク、ライブパフォーマンス、ワークショップなど)や支援者に向けた研修(アトリエ見学ツアー、インターンシップ研修、障害者アートマネージメントセミナーなど)も行なっています。
協力委員
2016年のアートセンター集設立からご協力を頂いている方々です。
※敬称略・順不同
前山裕司 | 新潟市美術館館長 |
---|---|
岩本憲武 | 弁護士/モッキンバード法律事務所 |
酒井道久 | 彫刻家、埼玉県立大学名誉教授 |
小澤基弘 | 埼玉大学教育学部教授(絵画及び美術教育)、画家 |
中津川浩章 | 美術家、アートディレクター |
杉千種・山口里佳 | コンティオ(コンサルティング事業) |